新たな街づくり手法「オガールプロジェクト」

岩手県紫波町で進んでいる街づくり「オガールプロジェクト」を紹介します。

 紫波町はJR盛岡駅から東北本線で南へ20分程に位置し、人口約3万4000人という農業主体の町です。
 一部メディアでは「補助金に頼らない街づくり」などと紹介されていますが、行政が支出をしないという訳ではなく、長期的な視点で行政と民間が効率よく協力して、行政が街づくりに対して出資するという新しい形の街づくりを進める面白い事例です。

 紫波町は、2009年2月に「紫波町公民連携基本計画」を策定したのをきっかけとして「オガールプロジェクト」が動き出すことになりました。
 ちなみに『オガール』とは、方言で「成長」を意味する「おがる」と、フランス語で駅を意味する「Gare(ガール)」を掛け合わせ、紫波が持続的に成長していく願いを込めて名付けたものです。

 街づくりのスキームについて細かく説明することは割愛しますが、「1. 農村(田園)と都市(街)が共生するまち/2. 若者、高齢者、すべての人が希望を持ち、安心して暮らせるまち/3. 人にも地球にも「やさしい」まち/4. 優れたデザインの採用」という4つの開発テーマに基づいて、計画面積21.2ヘクタールの中に、岩手県フットボールセンター、住宅地、広場造成、図書館・情報交流センター、民間施設(マルシェ、飲食店、宿泊施設など)、バレーボール専用体育館、役場庁舎などの開発が順次行われ、同町が目指している「暮らす、働く、学ぶ、集う、憩う、楽しむ」を体現した街づくりを進めています。

 2014年11月に視察訪問した際にも、幾つもの特長的な取り組みについて伺うことができました。
●日本サッカー協会公認グラウンドとなる岩手県フットボールセンターや日本初のバレーボール専用体育館など、商圏の中でエッヂの効いた施設を所有し、消費目的だけではない人を集めること
●テナントを集めてから採算ベースにのる建築設計を徹底すること
●100回以上の住民説明会を開いて情報公開と目指すべき姿を共有すること  など

 行政だけが行う街づくりは予算・人という面でも閉塞感を感じずにはいられませんが、本来、街づくりプロジェクトには終わりがないものです。
当プロジェクトのすべてが上手く回っている訳では無いとも伺いましたが、「オガールプロジェクト」という新しい形の街づくりの発展を見続けたいと思いますので、続報はいつか改めまして。(M)

オガールプロジェクト