斎場御嶽

 せーふぁうたき。これを初めからこう読める大和人(やまとんちゅう)は少ないのではないでしょうか。かくいう私も、最初は「さいじょうおんたけ」と呼んでしまったのを記憶しています。

 斎場御嶽は、沖縄最高の聖地とされ、2000年にユネスコの世界遺産に登録された「琉球王国のグスク及び関連遺産群」を構成する9カ所のうちの1つです。入口から歩き続け、岩と岩の間のトンネル(写真中央)をくぐった先にある最奥部の三庫理(さんぐーい。写真右上)からは、神の島、久高島を遥拝することができます(写真右下)。

 昔の沖縄の人々は、太陽が昇る東方にニライカナイという理想郷があると考え、沖縄本島の東に浮かぶ久高島こそがニライカナイに最も近い島と信じていました。そして、その久高島に最も近い霊場であり男子禁制の斎場御嶽には、歴代の琉球国王や聞得大君(キコエオオキミ。国王の姉妹で最高の神女)が参拝に訪れました。

 近年は観光客が急増しており、2012年度には5年前に比べて約5倍増の43万人を超える人々が斎場御嶽を訪れました。しかし、代々地元の人々の信仰対象である聖域に、マナーが悪く配慮を欠いた観光客も増えたことで、地元の南城市は、文化財保護を図るため男子禁制の方向で検討委員会の場で議論することを表明し、今年にはその結果が出る予定になっています。

 沖縄の重要な地域資源である斎場御嶽ですが、持続性のある観光資源とするためにも、宗教施設の観光資源化においては、宗教と観光のバランスを取ることが欠かせないのではないでしょうか。(Y)

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